The 9th Annual Congress of the Japan Society of Clinical Safety
第
9
回
日本医療安全学会学術総会
早稲田大学 理工学術院 創造理工学部
経営システム工学科教授
棟近 雅彦
先生
本講演では,質マネジメントの基本概念について解説した後に,質マネジメントシステム(Quality
Management
System:QMS)とは何かについて述べる.そして,演者らの研究グループと10病院との共同研究の場であるQMS-H研究会(HはHealthcareの略)の活動を紹介し,QMS活動とはどのような活動か,どのような効果があるのかについて,実践例を交えて紹介する.
QMSは,質のよい製品・サービスを組織的に提供し,さらに改善を行うための仕組み,仕事のやり方である.仕事のやり方を定めた業務手順書,実際に仕事をする人,仕事で使う設備やものなど,いろいろな経営資源からなる.
QMS活動を進めていくには,まず「質がよいとは顧客の要求を満たす,すなわち顧客満足度を向上させることである」ということを理解する必要がある.安全であることは質がよいことの一要素であるが,医療では特に安全は重要なので,あえて質・安全ということがある.
医療の質・安全を向上していくために,病院でも組織的改善を進めていかなければいけないことは,近年では常識化している.組織的改善を進める形態は様々なものが考えられるが,QMS-H研究会では,QMSを基盤とした組織的改善を進めてきた.このアプローチで重視しているのは,改善のための体制を整備し,対策を反映させるためのしっかりした基盤を構築することである.すなわち,標準化と文書体系の確立である.
QMS-H研究会では,QMSを病院に導入・推進する活動を17年間継続してきた.本講演では,その活動事例も紹介する.また,QMS-H研究会のメンバーである(株)麻生飯塚病院が,昨年TQM(Total
Quality
Management)を実践する優れた組織に贈られるデミング賞を受賞した.この活動も紹介する.
戻る